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「夜はやさし」
Tender is the Night
F. スコット フィッツジェラルド
F. Scott Fitzgerald
作品概要
1934年刊。人望、富、幸せな家庭、すべてを持ちあわせたように見える精神病医ディックだが、他者に奉仕する間に彼の青春は失われていた。
作家伝記
1896年、米ミネソタ生まれ。ヘミングウェイやフォークナーとともに「ロスト・ジェネレーション(失われた世代)」の作家として知られる。1920年に処女作『楽園のこちら側』刊行。1925年出版の小説『偉大なるギャッツビー』はアメリカ文学を代表する作品として名高い。狂騒の20年代、いわゆる「ジャズ・エイジ」の世相を鮮やかに描き出し、当時の若者のライフスタイルに大きな形響を与える時代の龍児となる。晩年はアルコールに溺れ、失意の中で生を閉じた。
名文を味わう
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In the dead white hours in Zurich staring into a stranger's pantry across the upshine of a street-lamp, he used to think that he wanted to be good, he wanted to be kind, he wanted to be brave and wise, but it was all pretty difficult. He wanted to be loved, too, if he could fit it in.

チューリッヒのうつろな真夜中に、ディックは街灯の明かりの向こうにある見知らぬ家の食品庫を眺めながら、良い人間でありたい、親切でありたい、勇敢で賢明でありたい、けれどどれもなかなか難しい、などと思ったものだった。それに愛されたかった。もし自分が愛されるに値するならば。
2

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